
この記事は医学生や若手医師に向けて、生理学を学ぶ上で役立つ教科書を10冊紹介します。
結論としては、最初の1冊は図が多くて理解しやすい本で全体像を作り、次に標準的な教科書で土台を固め、最後に大型本や臨床寄りの本で理解をつなげるのが最短です。
生理学は暗記で押し切ると後で必ず詰まります。なぜそうなるのかが説明できる状態を目標にすると、病態生理や薬理の伸び方が変わります。
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1. ガイトン生理学
生理学を理屈で理解したい人にとって、長期的に見て最も回収できる一冊です。分量は多いですが、因果関係の積み上げ方が丁寧で、なんとなく覚えた知識を論理に戻せるのが強みです。循環と腎と内分泌は特に完成度が高く、臨床に入ってからも何度も参照する場面が出てきます。最初から通読しようとすると高確率で疲れますので、まずは循環や腎など自分の弱点領域から読み、理解できた章を増やしていく使い方が現実的です。
【2026年時点の位置づけ】 初学者の最初の1冊というより、基礎が入った後に一段深く理解を固めるための本として強くおすすめします。
2. カラー図解 人体の正常構造と機能
生理学が暗記になってしまう人は、構造の理解が曖昧なまま機能だけを追いかけていることが多いです。本書は構造と機能を同時に整理できるため、頭の中に散らばった知識を一気に並べ替えられます。図の質が高く、視覚的に記憶に残るので、勉強を始める前に全体像をつかむ用途にも向きます。生理学を体系として捉え直したい人にとって、遠回りに見えて実は最短になるタイプの本です。
【2026年時点の位置づけ】 生理が苦手な人ほど先に使う価値があります。これで全体像を作ってから標準的な生理学書に入ると理解が速くなります。
3. シンプル生理学
生理学に苦手意識がある人が、まず理解できた感覚を作るための導入書です。難しい言い回しを避けつつ、最低限の道筋を崩さない形で説明してくれるので、早い段階で手応えが出ます。生理学は最初につまずくとその後の科目に連鎖しますので、ここで立て直せる価値は大きいです。一方で、これ一冊で完結させると深さが足りなくなります。導入で勢いをつけたら、標準的な教科書に必ずつなげてください。
【2026年時点の位置づけ】 生理学で挫折しかけた人の再スタートに最適です。最初のハードルを下げる役割として使うのがおすすめです。
4. 標準生理学
CBTや国試を意識する医学生にとって、現実的に最も使いやすい教科書の一つです。頻出事項の整理が上手く、過不足の少ない構成なので、限られた時間で到達度を上げたい場合に強いです。ガイトンほどの深掘りはないものの、その分読み進めやすく、試験で必要な水準を作りやすいのが利点です。理解が浅く感じる領域だけガイトンや図解本で補強すると、効率と理解の両方を取りにいけます。
【2026年時点の位置づけ】 医学生の基幹テキストとして安定しています。時間がない人ほど選ぶ価値があります。
5. 新生理学(Qシリーズ)【電子版付き】
生理学の知識を「確認しながら固める」用途に非常に相性の良い一冊です。本文は簡潔に整理されており、各項目が問いと答えの形で構成されているため、漫然と読むのではなく、自分の理解が曖昧なポイントを意識しながら読み進められます。生理学を一通り学んだはずなのに説明しようとすると詰まる、という段階の人にとって、知識の穴を炙り出すのに役立ちます。
6. 式から読み解く 臨床に役立つ生理学
生理学で登場する数式や関係式を切り口に、臨床現象を理解することを目的とした一冊です。クリアランスや血流、換気、圧と流量の関係など、臨床で頻繁に使う概念を数式から整理できるのが特徴です。式を丸暗記するのではなく、「この式があるからこういう現象が起こる」という因果関係が見えるようになります。
生理学を一通り学んだ後でも、数式になると曖昧なまま使っている人は少なくありません。本書はその曖昧さを解消し、検査値や治療反応を論理的に説明できる状態に近づけてくれます。初学者向けではありませんが、生理を臨床で使える知識に変換したい医学生後半から研修医に向いた一冊です。
7. イラストレイテッド生理学
文章中心の教科書がつらい人にとって、最も入りやすい形式です。イラスト中心で要点がまとまっているため、短時間で知識を呼び戻す用途に向きます。生理学は一度理解しても忘れやすいので、試験前やローテ前の確認にこうした本があると便利です。ただし、これだけで理解を作ろうとすると深さが不足します。基幹となる教科書で理解を作った上で、復習の加速装置として使うのが安全です。
8. ラングマン人体発生学
生理学そのものの本ではありませんが、発生を知ると生理が急にわかる場面があります。循環や内分泌や免疫に関して、なぜその構造になり、なぜその機能が成立するのかを一段上の視点で整理できます。生理学の説明がどうしても腑に落ちない時に、原因が発生学にあることは少なくありません。全体を読み切る必要はなく、詰まったテーマだけ参照する使い方で十分に元が取れます。
9. 疾患とつながる 解剖生理図鑑
正常構造と生理機能がどのように疾患へ結びつくのかを、図を中心に整理した一冊です。解剖と生理を別々に覚えるのではなく、病態との対応関係を意識しながら理解できる構成になっています。文章量は控えめで、視覚的に全体像を把握しやすい点が特徴です。
生理学や解剖学を一度学んだものの、疾患の説明になると結びつかない人に向いています。通読して勉強するというより、症例や疾患を前にしたときに該当ページを開いて確認する使い方が適しています。基礎と臨床をつなぐ補助教材として持っておくと、理解の抜けを埋めやすい一冊です。

いかがでしたか。
生理学は最初の教材選びで成績と理解度が大きく変わります。合わない本を我慢して読む必要はありません。理解できる教材で全体像を作り、標準的な教材で土台を固め、臨床につながる形に変換して反復する。これが最短ルートです。
生理学の習得を目指す医学生や若手医師は、ぜひ参考にしてみてください。











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